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2024年5月19日 (日)

愛知学院・愛知学院大学はハラスメントや差別のない公平・公正な学部運営を!  -愛知学院大学分会ブログNo.4-

学校法人愛知学院(理事長 小島泰道)が運営する愛知学院大学のA研究科(学部に併設の大学院)を背景として、2015年から現在に至るまで一部の教員によって大学院生や大学院を受験しようとする学生及びそれらの学生をサポートしていた学部教員に対してのパワハラ、アカハラ、女性差別、人種差別、不正入試等の問題が起きています。

 

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2024年5月17日に第3回団体交渉が実施されました。交渉の全体像については次回ブログでお伝えしますが、ブログNo.4では、その際に問題として議論されたA学部・研究科の劣悪なガバナンス体制について報告します。

 

 

【ガバナンスの崩壊によるハラスメントの温床】

ブログNo.1で、権力のある教員に従わなかったため不当な理由で昇進を著しく遅らされる等のアカハラ・パワハラ・女性差別等を受け、キャリア形成に大きく支障をきたした教員Zについて触れました。

数名の教授が、講師や准教授等の下の職階にある教員の昇進人事を一手に握る委員会(以下、B委員会という)を10~15年間独占的に組織してきたこと、学部長が月1回開催しなければならない教授会を個人の権限でほとんど開催しない慣習を継続してきたことなどが、構造的なハラスメントや差別の温床となってきました。

つまりこれらのことは、A学部・研究科のガバナンスの崩壊によって健全な学部の運営・管理体制が機能不全となっていることに端を発していると言えます。

 

ブログNo.4では、このA学部のガバナンスの欠如について説明するために、団体交渉で問題となった学部の会議での出来事を取り上げたいと思います。

教員Xは2023年8月から教員Zが差別を受けていることについて学部の会議で指摘し、B委員会の廃止や教授会の定期開催について提案してきました。

しかし学部長はそれに対して何の対応もしないばかりか、教員Xが問題提起したことでB委員会の委員の指名ができないとして、2024年度になっても委員会体制が未決定のままになっていました。

 

 

【議題を事前に周知せず決議の強行を試みる】

学部長は事前に周知していた議題には含まれていなかった「B委員会を今年度は教授全員で担当する」との提案を突然し、承認を強行しようとしました。

これは、組合員である教員ZがB委員会による不公平で差別的な取り扱いについて、代理人を通じて愛知学院にハラスメント救済請求の申し立てをしているにも関わらず行われました。

これらのことは、以下の理由から学部長としてあるまじき行為であり、明らかに非倫理的でルールを無視した無責任な権力の濫用であると言えます。

 

(1)未周知の重要議題の強行決議の適正性

半年以上B委員会の問題について教員XやZが説明・指摘してきたため、十分に考え周知する時間もあったにも関わらず、議題にも提示しないで考える余裕も与えず、そのような重要な決議に対して強行決議しようとするのは、まさに奇襲攻撃を企てたと疑われる行為です。

このような決議は拘束力を持つ適正な決定事項と言えるでしょうか。

 

(2)恣意的な規程・内規違反

「A学部教員人事に関する内規」によれば、B委員会は教授5名と学部長、教務主任の7名で構成されることになっています。しかしその構成員は会議で議論されることなく(議事録には未記載)2009年4月から2023年3月まで6名に変更されてきました。これは明らかに内規に違反です。

今回の学部長の提案(全教授でB委員会を担当)は、学部長を含む全教授8名と教務主任の合計9名でB委員会を担当するというもので、これも内規に沿っていません。

内規第9条によれば、内規改正には教授会構成員の3分の2の賛成を要するとなっています。つまり、このような恣意的な内規の取り扱いを行うことそのものがガバナンスの欠如と言えます。

 

 

【教授会の不開催や学部教員への不適切な対応】

A学部教授会規定第4条によれば、教授会は「学部長が毎月1回定期に召集する」とあります。しかし学部長は、規程に違反し定期に教授会を開催していません。

学則47条3(8)によれば、教授会は「教職員の採用及び資格昇任の選考に関する事項」を審議するとあります。つまり教授会はB委員会の上部組織であり、人事の審議に責任を持つ組織です。

しかし教授会が定期に開催されないことによって、B委員会を構成する数名の教授のみに人事に関する権限が集中し構造的な差別が可能となっています。

この教授会の不開催以外にも学部長は以下の不適切な対応をしました。

 

(1)全教員の面前で謝罪を要求

教員Xが9月に提案した人事に関する内規及び教授会規程の改正案について、その改正の根拠がハラスメントであることを理由として改革提案を取り扱わない(そればかりか会議の場において、全教員の面前でハラスメントが改正案の根拠となっていることの撤回及び謝罪を要求した)。

 

(2)「何が問題なのかわからない」

教員Xが会議でハラスメント問題を指摘した以外にも、教員Zは2023年に第2回目のハラスメント救済請求を行う前から学部長に対し個人的に事態を説明してきた。

それにも関わらず、学部長は具体的な改善努力や回答を行わないばかりか、会議で他教員の面前で「何が問題なのかわからない」と発言して責任回避し、被害者の教員Zを酷く傷つけた。

これはハラスメントを受けた教員Zにハラスメントを認めない旨を宣言するハラスメントの二次加害となっている。

またB委員会の問題が指摘されていても、その正当性や公平性について何の説明責任も果たさず、B委員会を擁護、継続しようとする。

 

 

【ガバナンスの改善と公平・公正な学部運営を!】

学部長には、このようなルールから逸脱した行為や実践を速やかに中止し、無責任かつ不適正な学部運営を改善、ガバナンスを向上することを要求します。

このようなことを継続することは、現在および将来の学生、教員、愛知学院への社会からの評価に大きな影響を及ぼします。これまでの過ちの対応及び将来の学部運営には透明性が重要です。過ちは正すべきです。

学部長の責任ある言動、B委員会や学部の改革プロセス、深刻な権利侵害を被った教員Zの平等な権利の回復や昇進は、失われた信頼と良好なガバナンスを取り戻す第一歩として、適正かつ倫理的に透明性を持って実施されるべきです。

この正当性を勝ち取るために、私たちは愛知学院との団体交渉を続けていきます。

2024年5月14日 (火)

愛知学院・愛知学院大学との第2回団体交渉~学長の姿なく~ -愛知学院大学分会ブログNo.3-

学校法人愛知学院(理事長 小島泰道)が運営する愛知学院大学のA研究科(学部に併設の大学院)を背景として、2015年から現在に至るまで一部の教員によって大学院生や大学院を受験しようとする学生及びそれらの学生をサポートしていた学部教員に対してのパワハラ、アカハラ、女性差別、人種差別、不正入試等の問題が起きています。

 

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第1回の団体交渉において、愛知学院は組合からの質問や要求のほとんどに対して「回答できない」とし誠実交渉義務に反する態度を取りました。よって2024年4月26日の第2回交渉では大学内のことについて回答できる学長、学部長及びハラスメント対策委員会を代表して発言できる方の出席を求めていました。

しかし愛知学院側からの出席者は、理事(大学事務局長)、人事部部局長、人事課長、代理人弁護士3名の計6名で、前回同様に大学法人の代表者のみで今回も質問に関してほとんど回答をしませんでした。

以下に、その交渉の概要について報告します。

 

 

【団体交渉での回答】

組合から愛知学院に対しての質問や要求事項と、それらに対する愛知学院側の回答(見解)を簡単に述べると、以下のとおりです。

 

1 質問に回答できる学長、学部長、ハラスメント対策委員会代表の参加要請

◆要求・質問

大学内のことについて回答できる学長、学部長及びハラスメント対策委員会を代表して発言できる方の出席要求に対する返答はどのようなものであったか。

◆回答

出席してほしいとの話が出ていると報告したところ、「出席しない。」との回答があった。理由の説明はなかった。

 

2 教員Zによる2017年に申し立てたハラスメント救済申立について

◆要求・質問

ハラスメントに関して結論を出した組織体、会議の開催日程、議論や決議の有無の確認及び議論内容や個人情報を伏せた状態での議事録の開示を求める。規定によればハラスメントの有無について結論を出すのはハラスメント対策委員会(各学部からの1名ずつの教員と事務員等で構成)であるが、その委員会での議論を経ずに不透明な手続きで結論を出されたと疑義を持っている。

申立から結論の通知に至るまでに、いつどの会議が開催され、何を議論したのか説明を求める。議事録はあるのか、あれば開示を求める。

◆回答

答える必要がないので回答できない。ハラスメント対策委員会でそういう議題を議論した議事録は残っていない。

(全体を通して)会議議事録は開示しない。

 

3 2023年10月付けのハラスメント申立の取り扱い状況について

◆要求・質問

救済申し立て以降、どのような組織体(あるいは人物)が現在までに何を行ってきたのか。いつハラスメント対策委員会が開催され、何を議論した結果、調査・調停委員会の設置の必要性を認めたのか。議事録はあるのか。議事録があれば個人情報を伏せた状態での開示を求める。

◆回答

代理人に回答することなのでこの場で私たちが答えられるのは、規程上の手続きについてだけ。調査はまだ進んでいない。これまでのことについては対策委員会と協議して回答する。

 

4 学部長選挙や教授会の不開催等の手続きについて

◆要求・質問

学部長選挙の手続きや教授会の不開催など規程を逸脱した行為が学部で起こっていても大学の自治があるから法人としては容認するということか。

◆回答

たとえ問題が認められたとしても、大学の自治に関わるので、法人としては関知しない。理事会、事務局には大学の運営を監督する責任はないというのが愛知学院の立場。それを問題にしたいならば裁判所に裁判提起するしかない。

 

5 教員Zの博士課程入試に関して

◆要求・質問

教員Zは正式な入試の手続きを経てA研究科の博士後期課程推薦入試(面接のみ)に出願した。しかし出願が受理された後に、博士課程進学の条件として同研究科の非常勤講師の職の辞任を強いられ、受験前日には当時の学部長に呼び出され「学長が受験をよく思ってないので受験を取りやめてください。受験を取りやめないと昇進が遅れるがそれでもいいか」という発言を受けた(Zは恫喝と受け取っている)。それでも受験したところ、面接では面接官が1名突然姿を消すといった事態に遭遇し、結果として大学院入試は不合格とされた。この教員Zの入学試験のあり方について大いに疑問を持っているので、その当時の入試の資料の開示とこれが規程に沿った手続きであったかの説明を求める。

◆回答

大学の自治に関わるので、答えられない。裁判上だって非公開にできる文書があるように、内部文書なので出せない。

(推薦状を書いた担当面接官が面接試験直前にいなくなった問題に関連して)面接官が突然欠席した場合の運用などについてわかる資料があるかは確認する。

 

 

【大学の自治で法人回答なし、自治のトップは何も語らず】

愛知学院は、A学部・研究科で起きているハラスメント、差別、規程・ルールを逸脱した組織運営について、第1回団体交渉と同様「大学の自治」という言葉によって、教員Zなど一部の教員が不遇を受けていることについて“見て見ぬふり“をするという姿勢を露わにしました。

 

前回の団体交渉ですでにこうした姿勢は明らかだったので、私たちは法人がいう「大学の自治」に関する事項について、責任を持って回答できる愛知学院大学学長や、現場で直接問題に関わっているA学部学部長の出席を求めていたわけですが、大変残念なことに学長らの出席は叶いませんでした。

法人いわく、学長は何ら理由を述べることもなく、「出席しません。」の一言のみをもって何年も差別に苦しんでいる教員の問題を放置する決断をしたのです。

 

私たち労働組合は、今回の問題は「大学の自治」があるから法人として何ら答えられない問題だとは全く思っていません。

そもそも大学の自治とは、大学内の問題について、外部から干渉を受けずに、大学構成員により意思決定を行い、管理、運営することです。

大学教員は内部の人間であり、自身が行ったハラスメント救済請求の手続きの確認を法人・大学側が拒否する理由にはなり得ません。それならば、大学では教職員がどんな処遇を受けてもその結論に至った理由や過程を確認することもできず、耐えるか、去るか、精神に支障を来たすかぐらいしか選択肢がないことになります。

 

大学の自治の中で差別など人権侵害がなされたり、大きくルールを逸脱した運営によって一部の者が大きな不利益を受ける事態に陥ったりしている場合に、法人が無関心でよいという発想は到底理解できません。

法人は雇用主である一方で、「大学運営を監督する責任はない」と明言していますが、それならば大学内の組織のガバナンス体制が崩壊している時、被雇用者はどうやって自分自身を守ることができるのでしょうか。

 

また、愛知学院の主張を前提としても、法人が無理であれば、学長は大学自治の最高責任者であるわけですから、その学長が団体交渉に出席することなく、積極的に問題解決を図ることもなければ、愛知学院大学の自治は正常な自浄作用が欠如していると言わざるを得ません。

 

 

【学長は何を思う】

先述のとおり、残念ながら愛知学院は大学の自治だから回答しないという対応を繰り返し、また、大学の自治について回答できるはずの愛知学院大学学長の出席はありませんでした。

大学の中で長年苦しんできた教員、組織の中で弱い立場に置かれた教員や学生は、法人が言うように裁判を起こして、その差別構造の解消を全て自ら引き受けていかなければならないのでしょうか。

この問題に限らず、差別とは、一体誰が引き起こすもので、本来解消に向けてやるべきことは何でしょうか。被害者が裁判を起こすことが最も大切なことなのでしょうか。愛知学院、愛知学院大学は、そういう考えを持った教育機関なのでしょうか。

 

学長が理由を示すことなく「出席しません。」と明言したという事実について、私たちはとてもショックを受けています。しかし、実際に学長がそういう態度だったのかどうかを私たちは直接確認したわけではないため、実際に学長が何を考えてこの問題に関わっていないのかは全くわかりません。もしかしたら、学長の本意ではないのかもしれません。

愛知学院大学学長におかれては、当事者の声に正面から耳を傾け、本当に必要な行動を自ら選択していただきたいと思います。

 

 

今後も適時情報を発信していきます。みなさんぜひご注目ください。

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